女が曲がり角に差し掛かる。

脇を走り抜ける寸前にジュンジが音もなく女の顔を後ろからガシッと掴み口を塞いで声を出せなくする。

いかにもジュンジは手慣れている様子だ。

軽い女の体を誰も人間が入れない夜の支配下にあるような真っ暗な駐車場に女を引きずり込む。

ジュンジは道路から見えないあたりで女を抱えたまま止まった。

マサユキがゆっくりと近づいていく。

女にとっては最悪な事態だが三人には単なる暇つぶしだ。

今から始まる最低のアトラクションの開催をニヤニヤしながら宣言しようとしている。

女は特に騒ぐわけでも暴れるわけでもなくピクリとも動かない。

しかし三人は特に不思議には思わなかった。

何回も『ハント』をしている内に『人間は予想外の事態に対して反応ができない』という事を覚えたのだ。

引きずり込んで口や体を押さえている時に動かないし声も出さない女を何人も見てきているのだ。

だから今回も同じように単に衝撃で声を出せないだけ、動けないだけと、三人は判断していた。