玄関のドアを開けると


「おかえりなさい」
と照れ臭そうに茜が居た



手をひかれるがままに
食卓に連れて行かれると

湯気を立てたカレーが置かれていた




椅子に座り
恐る恐るそれを口にすると
あまりにも不味かった

不味いカレーなど聞いた事もなかったが


俺は泣きながらただそのカレーを食べた




そうだ。


涙を流すなんて事は
20年近くしていなかった