子宝に恵まれなかった私達にも 息子も孫もできた 正雄さんの死後 森野くんは店を継ぐと言ってくれた 私ももう先は長くないだろうけど 一所懸命働く森野くんと 店で笑っていてくれる客がいれば 安心して死ねる こう言うと森野くんは悲しむけれど。 きっとこの街はずっと変わらない そう思って笑いながら 調理場から鳴る口笛を聞いていた