そこには何もかもがあった 佳乃への愛情も 絢への愛情も 罪悪感も 安らかな気持ちも 単純なる恍惚も 自分への憎しみも なにより佳乃の愛情も。 すべてが混じって ふと冷静になった私は 「別れよう」と ポツリとつぶやいた 佳乃は何も言うことはなく 優しく微笑んでいた 卑怯な男だ。 私はこの日この男の優しさと温もりを きっと忘れる事はできないだろう