「何を・・?」
「・・・・『出て行け』って」
「え!?なんでお母さんに出て行けって言うの?茜のために働いてるんじゃないの?」
 あたしは泣きそうになっていた
「お母さんはね、『わかった』って言って荷物まとめて出て行っちゃったの」
「お金盗んだ件はどうなったの?」
「わかんない・・わかんないよ・・でももう出て行っちゃったから・・」
 あかねは涙をポロポロと落とした
「お父さんは?」
「あの時お母さんの横にいたんだ。びっくりしてたけど、止めなかったんだ・・止めてくれると思ったのに・・それで今はね、家に帰ってくるけどまた出て行っちゃうんだ」
 もう一気に何が起きたのか分からなくなった。
 あたしに理解できたのは、『茜のお母さんは家を出て行った』と『お父さんはたまに帰って来るだけ』。
「茜・・お姉ちゃんいたでしょ?」
「お姉ちゃんは彼氏の家にいて帰って来ないよ・・」
 ・・一人ぼっちなんだ・・
 茜はそれでタバコに逃げたの?
 だからあの時・・『嫌な事忘れれるよ』って言ったの?
 茜は・・本当にタバコで『嫌な事』を忘れれたの?
 でも・・今泣きながらでもタバコを吸っている茜にそんな事言えない
 あたしはただ・・茜が崩れないように支える事しか出来なかった

「お腹すいたね・・おごるよ?サイゼ行こう!」
「いいの・・?優希ぃ・・ありがと・・っ」
「泣かない泣かない!」
「うん・・っ」
 茜はやっと笑顔になった
 
「あたしピザー!!」
「じゃぁあたしもピザ!優希ありがとう!!」
「いいよ!茜が笑顔なれてよかったぁ~」
「本当にありがとね・・」
「いいよいいよ!」

「♪♪~・・」
「優希携帯メールきてるよ!」
 本当だ・・誰だろ

「辻野で~す!森から聞きましたぁ!登録よろよろ☆」
 辻野かぁ・・森・・あたしのアドレス消してなかったんだ・・
「誰からぁー?」
「辻野」
「辻野かぁ!!辻野ねぇ優希の事狙ってるっぽいよ!」
「え!?ありえないし」
「ほんとだってぇ☆」
 ・・・・・
 心の中がモヤモヤする
 いったい何がつっかかってるのかなぁ・・
 そのモヤモヤに気づくのはそう遠くはなかった。
 一瞬だったんだ。