窓から光が零れる。

微かなうめき声と共に、レナは目を開いた。

広く大きなベッド、掛けられていた毛布、見覚えのない空間。

しばらくの間、脳の機能が停止する。



「ええと……」


よく回らない頭で、彼女は懸命に昨夜の出来事を思い出そうとする。

確か、夢を見た。

冬の雷の音で目覚めて、アルフに抱き付い、て……。

かっと彼女の頬に赤みが差す。

優しい腕を思い出した。

挑発してまんまと笑って返されたのも思い出した。

昨日の彼が優しくて、切なげだったのも、何もかも、全て。

ならばここはアルフに連れられて来た部屋なのだろうか、と彼女は辺りを見回す。

屋敷の他の部屋と同じように、簡素な調度品たち。

部屋の外に至る為の扉は一つだけで、取りあえず彼女はその扉に手を掛ける。

そ、と開いて見るとそこはまた別の部屋のようで、鎧戸が降りているのか、陽の光はほとんど射していない。

ただ机の上に蝋燭が置かれていて、小さな炎がゆらゆら揺れていた。

頼りない光に照らされて、茫と扉が浮かび上がって見える。

絨毯の上で何となく足音を忍ばせて、レナはそっとその扉を開いた、瞬間。



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