十九世紀、東欧。

雪に閉ざされた村には、吸血鬼に犠牲を捧げる習慣が残っていた。

死んだように色のない森の奥、娘が生木に括られている。

そこにあの男が現れたのは、気まぐれなのか、それとも。

伸ばした手の先、触れ合った指、そこから。

交わるはずのなかった狼と羊の瞳が、互いの影を映す……。


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