「兄弟は?」 「いないよ」 「親は一切帰ってこねぇの?」 いつもより低い声が部屋の中に響いた。 「会社の近くに家借りたみたい……」 チラッと橘くんを見ると、まだ目を閉じていた。 この重苦しい雰囲気に耐えれなくて、テレビのチャンネルを変えてみる。 「いつから?」 「…中学の頃からかな?」 ピクッと眉を寄せた橘くんと、目が合った。 「あ、あのさ、…内緒にしててくれない?」 「わかった」