― ブーブーブー


机の上の携帯が音をたてた。




「もしもし」



「酒井か?どうだ、体調」




「ごめん、山ちゃん。やっぱり行けない……」




「……そっか」



そう言うと、山ちゃんは黙ってしまって沈黙が続いた。




「酒井美愛!」



急にしゃべりだした山ちゃんに少し驚いた。




「は、はい…!」




「卒業おめでとう」




「……ありがとう。山ちゃん、本当にありがとね!」




「こちらこそありがとう。じゃあ卒業式行ってくるな!酒井も心は卒業式に来てくれな!」




電話が切れてから、思い出と一緒に涙がどんどん溢れ出てきた。