「なあ。」


相変わらず目は空に向けたまま、話しかけられた。



「行かないとか聞かないよ」




「違うっつーの」




「じゃあ、なによ?」



ちょっとえらそうに仁王立ちをしてみる。





「あのさ、たまにはみんなの意見に合わせるってこともしろよ」




「……え?」



予想とは全く違う返事にまぬけな声が出てしまった。
おまけに顔もまぬけだと思う。





「だからお前、疲れんだよ。バカ正直に生きんな。」




びっくりしすぎて、我に返ったのは橘くんが帰ってからだった。