人があまり通らない中庭のベンチに腰を下ろした。



これから龍が言うことに、胸騒ぎがして。





一回、大きく息を吸った龍がしゃべりだした。




「瑛ちゃん、家族いないんだ。」




「………え?」



家族がいない……?
どういう事か理解できなくて、龍の顔を見上げる。





「中学卒業してから急にいなくなったって……」



中学を卒業してから…?
瑛斗は高校に入って変わった、って言ってた拓の言葉を思い出した。





「だから、瑛斗……」




「うん、そう。だから……」



龍は急に口を詰まらせた。



「……りゅー。」




「落ち着いて聞いてほしいんだけど……」