「傘の中の世界」




大好きだと

あなたに告げた

びっくりした顔を

帰り道ひとり

思い返しては

笑顔になる




雨が降っていたから

傘を差して向き合った

私より少し

背が高くて

雨粒が落ちるたび

私の傘が

音をたてる

それは まるで

私の胸の音のようで




一方的だと知っている

伝えただけで

嬉しいから





帰り道の傘の中

雨音が いつもより

軽やかに思えた