5センチ。




 「ねぇ住谷君。話があるんだけど。」



 そう言って甘い声と鼻に付く香水。


 顔を上げるとそこには、クラスのマドンナ的存在の女が立っている。



 「深沢さん、何?」



 素っ気なく答える俺。



 「あのね、いつも一緒に登校している女の子って住谷君の彼女?」



 そう聞いてくる深沢に“別に…”と答えて本に目を向けた。