葬儀も無事終わり、夫の遺骨と遺影をマンションの和室に作られた祭壇に備え、お線香を手向けた。
夫の事故の連絡から今まで、ずっと長い夢を見ているような気持ちだった。
遺骨になって帰って来た夫。
祭壇に飾られた遺影を見ても、まだ信じられない。
離れて暮らしていた時間が長かったせいか、夫がいない毎日の生活が当たり前だったから、いきなりこの世を去ったという現実をまだ絵空事の様にしか受け止められないのだ。
『年末には帰るよ。』
…そうよ、帰ってくるって言ってたじゃない。
暁人の進学のこともちゃんと話し合って無いじゃない。
寛人だってあなたと冬休みにスキーへ行きたいって楽しみにしてたのに。
あなたは…
どこへ行ったの?
幾ら訪ねても、遺影の中の夫は答えてはくれなかった…

