サミシイカラ…ウソツキ



彼女の夫の遺影を見つめるその目は、ただの仕事仲間としての目線では無いように見えたのだ。


気のせい…よね。



その女性はあたし達遺族に深々と頭を下げ、葬儀会場を後にしていった。



あたしはまだまだ続くお焼香の長い列の方へ目を向けると、そこには成瀬さんの姿があった。



あたしは成瀬さんに夫が亡くなったとは言っていなかった。ただ身内の件で忙しくなるからしばらく連絡出来ないとはメールしておいた。



どこで知ったのだろうか。


成瀬さんはお焼香を済ませると、あたしの顔を一瞬見つめ、声を掛けることなく足早に去って行った。




あたしは目の端で成瀬さんの後ろ姿を追いながら、


「……ありがとう」



と小さく呟いた。