サミシイカラ…ウソツキ




確か夫が転勤する前に同じ部署だった人だ。


夫の転勤が決まり、夫の送別会の後に同僚や部下の方々がうちに飲みに来た時に一緒に来たことがある女性だ。



その女性はあたしが忙しくキッチンでお酒やおつまみを用意している時に、気を使って手伝ってくれたのを覚えている。



可愛らしくて若いのに、器用で気も効く彼女は会社の中でも人気者らしく、リビングで飲んでいる夫の会社の仲間達の中心にいた。



彼女はキッチンで手早くサラダを盛り付けながら、


「風間さん、単身赴任なさるんですってね…奥様寂しくないですか?」


と訪ねられ、


「ん〜あたしも仕事があるし、子供達も生まれ育ったこの街から離れがたいみたいなのよ。仕方無いわ。」

と答えた。



「……そうですか。奥様もお忙しいんですね。風間さんは…家族と離れて寂しくないのかしら。でも、お子さんの都合もありますもんね。」



彼女は小さく笑い、盛り付けたサラダを運んでいった。


夫の会社では転勤は当たり前で、海外赴任や単身赴任だって珍しくない。



あたしはその時の彼女の言葉を真意に受け止めはしなかったが…