サミシイカラ…ウソツキ




流産してしまってからしばらくは、毎日一人寝室で泣いていた。


偶然それをまだ小学生だった長男に見られ…


「お母さんっ!どこか痛いの!?」


涙ぐみながらあたしに抱きつき、小さな手で涙を拭いてくれたっけ。本当に優しい子…

それ以来、長男はあたしの涙には酷く敏感になった。だから、目が赤かったりするとすぐ言われちゃう。

長男は中学生になった今でも、進んで買い物の荷物を持ってくれたり、朝のゴミ出しもしてくれる。最近は料理にも興味を持ち始め、お味噌汁やカレー、オムライスまで作れるようになった。


小学生の次男もそんなお兄ちゃんの真似をするかの様に洗い物をしてくれたり、簡単なお使いも進んでやってくれている。キッチンで調理をするお兄ちゃんのアシスタントとしてぴったり側にくっついては、味見をせがんでる姿が微笑ましい。



頬杖をついて子供達の朝食を食べる姿を眺めながら、我が子ながら真っ直ぐに育ってくれているな…と小さく微笑んだ。



すると長男が、おかわりのご飯をよそりながら、
「お母さん、今日残業あるの?夕食どうする?」


朝食を食べながらも夕食の心配するとは…さすが食べ盛りの中学生だな。



夜…か。胸がドクッと波打つ。


「…多分、遅くなるかも。ちゃんと夕食用意していくからね。何にしよっか。」


「じゃあ、僕ロールキャベツがいい!!ホワイトソースのやつ!!」
我先にキラキラと眼を輝かせ、次男が手を挙げた。

「え〜!俺はロールキャベツじゃおかずになんないよ!もっとガツンとしたのがいいよ!そうだな、カツ丼がいいなぁ〜」
大盛りごはんをパクつきながらの長男も負けない。

「やだ!ロールキャベツがいい!!」
「カツ丼だってお前好きじゃん!」



「はいはい、朝から言い合わないの。そうね…両方用意するから。カツは揚げておくから、お兄ちゃんが出汁と卵でとじてあげてね。それでいい?」


「やった〜!!任せといてよ!ご飯多めに炊いておいてね!」

「僕も手伝う!!」



いつもの賑やかな朝が、あたしの笑顔の源なんだ。