あたしは驚きと少しの後悔で、言葉が出なかった。開けてはいけない扉を自分で開けてしまった気がした。 「もしもし?ゆう?俺だけど…久しぶりだね。」 …まだ声が出ない。 携帯から伝わるあなたの甘い声で体が震える。 思い出しちゃいけないあの夜が鮮明に甦ってくる。 「ゆう、今ベランダに出て公園を見てみて?」 あたしは震える体でそっとベランダから公園を覗いた。 そこには… 紙袋を抱えた成瀬さんがこちらに向かって手を振っていた。