しばらくそうやって成瀬さんはあたしをキスの呪縛から離してはくれなくて…



ふと見た公園の時計はもうすぐ12時になりそうだった。



「私…もう帰らないと。」



成瀬さんは自分の時計を見て、


「…君はまるでシンデレラみたいだね。引き留めてごめん。送るよ。」



「大丈夫です。あたしの家、そこなんです。」



あたしは公園の目の前にある自宅マンションを指差した。

あまりの近さに驚いたのか、成瀬さんはクスクス笑いながら
「でもちゃんと送るよ。この距離でもゆうのこと心配だからね。」



成瀬さんはマンションのエントランスの前まできっちり送ってくれた。


「また連絡してもいい?」



「…えぇ。」


成瀬さんは手を降って帰って行った。