「力也ぁ―?」

何度か呼んでみたけど返事は返ってこなかった…


校庭の隅にはバスケットコートかあった、2人は仕方なくその前にあるベンチに腰を下ろした。


静かすぎる学校は吹き抜ける風邪をさえぎる物がなく私は身体をまるめた…


「寒か?」


そう言うと翔太郎は自分の着ていた、ジャケットを結の膝の上にかけてた。


「ありがとう…」


「夜の学校は静かとね…」

「…ほんまに」


急に2人きりなのが恥ずかしくなった…
ひとみ達を探すけど暗くてよく見えない…


緊張を紛らわすように爪先を上下に揺らしてやり場のない視線を自分の爪先に向けていた。


―沈黙が続いた


沈黙に耐えられなってなのか…
翔太郎は急に笑いだした。
その笑い声につられて私も笑った…


「あ― 何か緊張すると」

「何? 可愛い子が隣にいるから?」

私はおどけて言った…


「――かもな…」


えっ??かもな……?


そう言うと翔太郎は結の左手を優しく包んだ…

 
「本当に寒かとね…こうすると温かね」


私の左手は翔太郎の右手としっかりと繋がっていた。

心臓は今にも破裂しそうな位激しく鼓動をうった…


貴方は…何を考えているの?


私は考えてみたけれど、分からなかった…


でも…


今は分からなくてもいいと思った…

知りたいとも思わなかった…

ただこの温もりをいつまでも感じていたかった…


「温かいね…!」