「無理なんてしてないよっ」
「いいや、自分が気づいてないだけ。俺、どれだけよく見てるか知ってる?
いつも泣きそうな顔してるくせに、無理して笑ってんの」
あたしそんな顔してた?
知らない、しらない、シラナイ。
「はぁ…」
要くんは溜め息を1つついて、
「あとはレンさんに任せますから。俺、これ以上キズつきたくないし」
「あぁ、助かる」
そう蓮と会話したあと、バイクまで素早く行ってしまった。
「要くんっ」
あたしの声に気付いた彼は、バイクに跨がったままメットのガードを上げて、一度だけ微笑んだ。
そして、
「幸せになれなかったら俺が貰いに行くから!」
その言葉を残して、颯爽とあたしと蓮の横をすり抜けて行った。