振り返らないで要くんの手を掴み、駐輪場へ行こうとした。
その時―――…
ガシッ
片方の手首を掴まれた。
それとほぼ同時に、蓮の低い声がする。
「お前、バカか」
はは。
最後がバカか。
蓮らしいね。
言い返してやろうと思ったけど、振り返る事が出来ない。
だって今のあたしは涙でぐちゃぐちゃ。
きっとマスカラもアイラインも落ちてる。
こんな顔見られたくないよ。
もし蓮の記憶の中に残るなら、笑ってるあたしがいい。
だから振り返らない。
そして、要くんを掴んだ手を離して、蓮の手をほどこうとした。
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