「レンさんは……」
要くんが何か言おうとしたけど、言い出す前に口を閉じた。
あたしに向けられてた視線は、頭上を通り越して、更に遠くのナニカを見てる。
なに?
不思議に思いながら、あたしも後ろを振り向こうとしたら―――…
ギュウッ
誰かに抱きしめられた。
走ってきたと思われるその人は息が少し荒くて、肩で息をしてる。
一瞬振り払おうとしたけど、あたしはその手を止めた。
だって
だって……。
ちょうどあたしの頭の上くらいにある、この人の顔。
そしてこの長い腕に、綺麗な指。
そしてあたしが大好きなこのフルーティな爽やかな香り。
そして何よりもこの安心感。
「……蓮っ……」

