ヒック…ヒック……
言いたいのに、涙が止まらなくて声が出せない。
すると蓮が優しくあたしを包み込んでくれた。
ふわふわのダウンジャケットを羽織った蓮の胸に顔を埋めていると、不思議と心が落ち着いていく。
「やっぱりバカだな、お前は」
口が悪いくせに、どうしてそんな優しい声なの?
今度はあたしの髪を撫でながら話し出す。
「安心しろ、追放なんかされねぇから。
今日は正面から入るんじゃねぇよ、此処にVIP用の通路があんだよ」
そう言われて、蓮が向いた方を見てみたら……
「うそ…」
《特別玄関》
ちゃんとあった。

