咲季の意識が戻らないまま1ヶ月が過ぎた。


口にチューブを入れられ手は点滴で青く腫れあがっていた。


咲季の傍に居てやりたい気持ちはあった。でも面会時間が決まっているし、大学もある。


「咲季……ごめんな」


硬くなった咲季の手をぎゅっと握りしめ、さようならのキスをした。


寂しくて涙が溢れた。

涙が咲季の頬をゆっくりとつたった。


すると、俺の願いが叶ったかの様に咲季が、ゆっくりと目を開けた。


「大翔…。ただいま。」


「咲季……」


急いで先生を呼んだ。


先生は奇跡だと言った。


幸い後遺症も無くまたいつもの咲季に戻った。