「そうだよな。話したことないよな。
俺の親父と母は医者なんだ。5個上に兄貴がいる。兄貴は両親の期待に応えるかのように勉強して、自慢の兄貴だった。でも、それが嫌になったみたいで、俺が15の時に出ていったんだ。だから、兄貴が居なくなった分、俺が医者になって、病院継がないといけないんだ。」


「病院継ぐって、院長先生の息子なの?」


「あぁ。」



そんなに凄い家柄だったとは知らなかった。


「これでいいか?」


「うん。ありがとう。」


「誤解してほしくないから言うけど…。俺は病院継ぐつもりはないから。このことで、咲季と別れようなんて思ってもない。親になんて言われたって俺は、咲季と一緒にいるって決めたんだ。」



「うん。ありがとう。」