辺りを見回すと大翔が寝ていた。きっとここは大翔の部屋だろう。大翔の匂いがする。

「咲季?目覚めた?」

「うん…。あたし…。」

何があったのか全く覚えていない。

「あのあと意識失って。救急車呼ぼうと思ったけど、あの時も病気行くの嫌がってたから病気には行かなかった。」

「そうだったんだ。ありがとう。心配かけてごめんなさい。」

やっぱり言わなきゃ。

もう隠せないよね。

「咲季…。キスしてもいい?」

「どうしたの?急に?」

一瞬心臓がドキッとした。
「嫌ならいいんだ。」

大翔は寂しそうに背中を向けてしまった。

嫌なわけない。

あたしは、ベッドから起き上がると大翔の背中に抱きついた。


大きな背中。


大翔の心臓もドキドキしていた。


暖かい。大翔の温もり。


「今日初めてのデートだったのにごめんね。」


大翔はこっちを向いた。