「……これが…現実なんだね……もう…信じられないよ…。」


体の冷たさがまた、あたしの悲しみを深くした。


「咲季ちゃん。もう時間だから行くよ」


「いやだ……。またふっと起き上がってくれる様な気がするの!
連れて行かないで!
ずっとそばにいたいの!」

「咲季ちゃん。大翔くんは亡くなったんだ。今日天に召される日なんだ。」


「ひ…ろ…と…
行っちゃやだよ!
なんとか言ってよ!
ねぇ!ひろと!」


先生は無理やり大翔の体からあたしを離すと、大翔を連れて行ってしまった。



「いやぁぁ!
放して!放してよ!
大翔逝かないで」


こんなに悲しくて辛いなんて。


この日現実を知った。