准教授 高野先生の結婚


もちろん私は睦美さんの申し出に全力で首をぷるぷる横に振った。

「つ、謹んで遠慮します……!」

「ハイ!じゃあ、むっちゃんが妹ぶるのも、しーちゃんが姉ぶるのもナシ!」

「ほーい。それにしても、このロールケーキ激ウマ。駆けつけてきてよかったぁ~」

「むっちゃんは甘党だもんねぇ。しーちゃんは?甘いもの好き?」

「あ、私も甘いの大好きです」

「おっし!じゃあ、しーちゃんにはお礼に老舗の紅白饅頭をあげちゃお~!」

「えっ!そんなけっこうなモノいいんですか?一度もらったら返しませんよ?」

「むっちゃん、それって今日のお式の引き出物じゃ……」

「ふふー、おめでたいでしょ~?」

「なんていうか……今どき引き出物に紅白饅頭とかアリなわけ?ねぇ、しーちゃん」

和気あいあいの二人は、まるで気が置けない女友達みたい。

結婚するって家族が一気に増えること。

新しい両親ができて、そして、新しい兄弟や姉妹ができて。

ずっと一人っ子だった私にとって、きっとそれは喜ばしいことに違いない。

だけど――

兄弟姉妹の接し方を知らない私は内心すごく不安だった。

血縁もなければ育った環境も違う、まして年齢だってちぐはぐで……。

どう振舞えばよいのか、わからないことがわからないほどわからなくて……。

でも、もう大丈夫。

だって――

ジュンちゃんとむっちゃんが、そんな不安を一気に吹き飛ばしてくれたから。