空は曇ったり晴れたり、晴れたり曇ったり。
気温は暑からず寒からず。
いよいよ結婚式の当日。
天気予報どおりというか、残念ながら見事な五月晴れとはいかなかった。
けれども、外はとっても爽やかな陽気で、そよぐ風が心地よくて。
その清々しさに心が洗われるようだった。
今、私がいるのは礼拝堂のお隣にある記念館。
そう、お式の打ち合わせで来たあの建物。
そして、その三階の和室が新婦の支度部屋。
普段は華道や茶道や箏曲など、主にOGのサークル活動などに使用されているそうだけど。
「和室にウェディングドレスって、なんか不思議で微妙ですね……」
大きな鏡に映る自分のドレス姿と畳敷きの床とのギャップに苦笑する。
隣に立っていた柘植さんも、後ろに立っていたメイク担当の女性もちょっと苦笑い。
「確かにちょっと……。でも、大きな鏡があるのはこのお部屋だけで。それに、お着替えには床より畳のほうが楽なんですよ。足元を気にしなくていいですしね」
「なるほど」
柘植さんの話にすっごく納得。
出番を待つ楽屋って必ず畳がある気がするし。
「そろそろ御新郎様をお呼びしてもよろしいですか?」
「えっ。あ、はいっ」
にっこり笑ってお伺いをたてる柘植さんに、私はやや緊張しながら答えた。
こ、この姿を寛行さんに見せる、見られる……。
彼はなんと言うだろうか。
「化けたね」とか?
「馬子にも衣装」なんてありがちな台詞とか?
さて……。
ほどなくして、別の部屋で既に支度を終えていた寛行さんが、柘植さんに連れられてやってきた。
純白のドレスに身を包んだ私と、シルバーグレイのフロックコート姿の彼。
ど、どうしよう……。
この照れくささったら、もうもうもうっ。
彼はといえば、まるで私に釘付けというか。
こちらを見たまま微動だにせず黙ったまま。
だるまさんが転んだ状態だし……。
あぁ、それにしても――。
寛行さん、すっごく似合ってる。
やっぱりフロックコートにして良かった。
背が高いから映えると思ったんだよねぇ。
うっとりだなぁ……って、えーとえーと、いいかげんもう何か言わなきゃ。
「あ、あのっ。どうで、しょうか……?」
うわー、私ってば今どんな顔をしてるんだろ?
きっと、ものすごい作り笑いになってるような……。
そしてそして、寛行さんの感想は――。
「うん」
「へ?」
「うん……うんうん」
力いっぱい頷きながら「うん」と言うのみ……。
すると柘植さんが私の耳元で囁いた。
「(花嫁さんのあまりの美しさに言葉を失われてしまったご様子ですね)」
「(ええっ)」
かぁっと顔が熱くなり、私は気恥しさにうつむいた。



