准教授 高野先生の結婚


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お父さん、お母さん


いつもありがとう。

こんなとき、本当は「今までありがとう」って言うのが正しいのかもしれないけれど。

でもやっぱり「いつもありがとう」。

なんだか書き出しからして、花嫁の手紙っぽくなくてごめんなさい……。

だけど、せっかくの特別な手紙です。

今だからの告白をちょっと頑張ってしてみたいと思います。


子どもの頃、私は「お母さんみたいなお嫁さんになりたい」と思っていました。

「お父さんのお嫁さん」じゃなくて、お父さんはショックでしょうか(笑)

でも、だって子ども心にわかっていたから。

お父さんのお嫁さんはお母さんだけ、って。

お父さんに大事にされているお母さんを素直に「いいなぁ」と思ったから。

そして、寛行さんと出会って私の夢はかないました。

寛行さんは本当に私のことを大事にしてくれます。

お父さんがお母さんを大事にしているように。

私はなりたかった「お母さんみたいなお嫁さん」になれたのです。


でもね、高野詩織になっても、私がふたりの娘であることに変わりはありません。

だからどうか淋しがらないで。

寛行さんと結婚して、私にはもうひと組の大切な両親とたくさんの兄弟姉妹ができました。

同じように、お父さんとお母さんには寛行さんという息子ができたと思ってもらえたら嬉しいです。


お父さんとお母さん、ふたりの子どもとして生まれてこられて私は本当に幸せでした。

もちろん、今も幸せです。

そして、これからもきっと幸せです。

だから、嫁がせたらお役御免だなんて言わずに、ずっと見ていて欲しいのです。

私はもっともっと幸せになります。

だから、お父さんもお母さんもずっとずっと元気で、物語を眺めるように私の幸せを見ていてもらえませんか?

いつまでも親離れできないみたいでごめんなさい。

でも、たとえ手を離して巣立っても親子は親子、家族は家族だし。

私はお父さんとお母さんが大好きで、ふたりの居る家が大好きだから。

だから、仕方のない子だと思ってあきらめてください(笑)

私は大丈夫です。

これからいろんなことがあるかもしれないけど、それでもやっぱり大丈夫です。

だから、心配はほどほどに(「心配しないで」って言っても絶対するもんね……)。


お父さんとお母さんが扉を開いてくれた物語です。

どうぞこれからも続きをお楽しみに。


            しーちゃんより

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