自宅についてようやくほっとできると思ったのもつかの間、私はお母さんが持たせてくれたお土産の中身を見て固まった。
「どうかした?」
背後から心配そうな彼の声が近付く気配を感じた。
けれども、私は振り返りもせずただじっと紙袋から出したそれらを見つめていた。
「詩織ちゃん?」
ぺたんと座り込んで身じろぎもしない私。
寛行さんは私の肩に手を置くと、ひょいと私をのぞきこんだ。
「あれ?これは君の友達の――」
「……モモちゃん、です」
お母さんはいつだって帰省先から戻る私にお土産を持たせてくれたけど、今日のは特別だった。
広いマチ付きの大きな紙袋に入っていたものは三つ。
まず一つ目は、おそらく釣り具や工具を入れるための持ち手のついた収納ケース。
その中身はお母さんチョイスのお裁縫道具たちだった。
そして、二つ目はリボンで可愛くラッピングされた水色の不織布の袋。
中から登場したのは、ピンク色の猫。
鼻のまわりと手足が白くて、いくつも綻びを直したあとがある。
もういいっくらい色あせて随分くたびれたぬいぐるみ。
子どもの頃、私が一番大切にしていた、一番の友達だったぬいぐるみ。



