准教授 高野先生の結婚


結婚が決まってから今まで、ドレスのカタログはた~くさん見てきた。

だけど――


「例えばデザインでも雰囲気でも何かご希望のイメージを仰っていただければ――」

「あ、あのですね!実は、その……」

「?」

「わからないんです、ぜんぜん……」


いろーんなドレスを見れば見るほど、なんだかわからなくなってしまったのだ。


私のすっとこどっこいな発言に、カスガイが呆れたようにこちらを見る。


「スズキ、まさかいきなりノープランで来たのかえ?」

「いや、その……考えすぎて逆にワケわかんなくなっちゃった!みたいな?」

「アタシがワケわからんよ……」

「だって――」


どのドレスもみんなそれぞれ素敵だけど。

それって、モデルさんが着ているからこそ素敵というか。

或いは、ドレス単体の素敵さというか。

自分に似合いそうなものなんて、とてもとても思いつかなくて。


「素敵だなとは思っても、どれもこれも自分には無理って気がしちゃって……」

「スズキはまたそうやって――」

「“そうやって”って???」

「いちいち考えすぎってこと」

「う゛っ」


前にもあったっけ……カスガイにこんなふうに言われたこと。

“考えすぎ、囚われすぎ”って。