准教授 高野先生の結婚


休日だというのに、お客さんは私たちの一組だけ。

はりきって朝一番に来店したから???

もちろん、1階の様子はわからないけど。

カスガイによると、もともとKH貿易は真珠とダイヤの卸しのお店だったという。

それがだんだん次第に小売もするようになり今に至る、と。

お洒落な広告をうったりしない店なので、地味だしネームバリューはないけれど。

良質なものを安価で提供できるのには、そういう背景があるからなのだ。


二人きりになったフロアに、彼と私の声だけが静かに響く。


「僕、実はちょっと考えてきたのだけど」

「うん!どんなの?どんなの?」

「うーん、あのね……」

「うんうん!」

「なんというか、その……」

「???」


なにやらちょっと言いにくそうな寛行さん。

なぜなぜ?どうしてなの???


「えーと、僕にしてはこ洒落ているというか、ちょっと気障ったらしいというか」

「ん?なになに?知りたい!知りたい!」

「こういうのは、どうかなと思って……」


そうして彼はメモパッドに、ある言葉をさらさらっと書きつけた。

それを見た私は――


「あの?あれ?これって?これって!?」


思わずびっくり!大興奮!


「なんか示し合わせてたみたい!」

「うん。僕もびっくりしていたんだよ」

「いいね!うん!すっごくいいね!」

「ね。すごくぴったりでしょ?」



その言葉は――