准教授 高野先生の結婚


指輪の形状は、ストレートの輪っかではなく少しだけひねりのある形を選んだ。

だって、加藤さんが“こちらのほうが指が綺麗にみえますよ”って言ったから。

私たちってばもうすっかり加藤さん頼み?みたいな。


さて、結婚指輪に出会う旅もいよいよ終盤。


「ハイ!あとは刻印でございますね」


指輪の内側に刻む文字。

てっきり、普通に入籍日と二人のイニシャルを入れればいいのかな?って。

私はそんなふうに思っていたのだけど、彼はちょーっと違うようだった。


「文字数はどれくらいまで大丈夫でしょうか?少々長めでもなんとかなりますか?」


おっ!かなり積極的な寛行さん!

ひょっとして、何か考えてくれてるの?


「ハイ!サービスで無料の刻印は20文字までとなっております」

「ふむ、20文字ですか……」

「その他に、有料のレーザー刻印ですと35文字まで承っております」

「なるほど」

「こちらですと、書体や大文字小文字などもお選びいただけますよ」

「では、その有料のほうでお願いしたいと思うのですが」


加藤さんと二人でサクサクと話をすすめる寛行さん。

私は一人で、ふんふんキョロキュロ。


「ハイ!承知いたしました。では、ただいま書体のリストをお持ちいたしますね。

あと、新しいお飲み物をお持ちいたしますので少々お待ちくださいませ。

おっと!こちらのメモパッドをどうぞご自由にお使い下さい、ご相談に」


そうして、加藤さんは冷めたお茶の湯呑を持ってササッと奥へ引っ込んでいった。