准教授 高野先生の結婚


指輪のサイズをちゃんと確認したところ、私は9号で、彼は14.5号だった。

いよいよ、実物のサンプルから指輪を選びましょう!となったとき――


「寛行さん、これって……」

「うん、なんというか……」


思いがけない問題……ではなく、誤算が生じた。

それは――


「あの、このお値段って……」

「間違いではない……ですよね?」

「ハイ!間違いございません」


指輪……安すぎなんですけどっっ!!


タグに書かれたお値段は、どれもこれも驚いてひっくり返りそうなほどお安くて。

しかも、石を入れる為の代金などの諸々の金額を加算してもまだまだ安く……。

もちろん、いい物が安く買えるなんて嬉しい誤算なわけだけど、でも――


「どうしよう、寛行さん……」

「そうだね、どうしようか……」


私たちってば、高額な買い物をするんだぞ!って意気込んできたものだから……。

あれれれれ?って肩すかし喰らっちゃったようで。

もっとおかしな例えをすると、振り上げた拳の下ろし場所がないよ~!みたいな……。


“結婚指輪だよ?”

“こんなに安くていいの?”


そりゃあ“安くていい”に決まってるのに、なんだろう?なんだかこう……。

ちょっとやり足りないような、なんとも言えない消化不良のモヤッと感が……。