「私はお仕事のことも考えると、あまり華美なものはちょっとなぁと思ったりして」
「僕はあまりゴツゴツした重厚感のあるものは指に違和感を感じてしまいそうで」
「なので、外側には凝った装飾とかはぜんぜん必要なくって」
「細めな感じで、つけていても気にならないような指に馴染みやすいものが希望で」
「とにかく、見た目……外側はぜんぜん地味でいいんです」
「シンプルで。材質はプラチナで」
「あ、この写真の指輪には外側にダイヤがポチって入ってるけど、私は要らなくて」
「えっ!君は入れたらいいのに!」
「別に、ダイヤはついてなくていいもん」
「けど、せっかくなんだし」
「むぅぅ、私の好きなようにさせてくれるんじゃなかったのお???」
「それはそうだよ!しかしさぁ……」
むむむ、寛行さんってばやっぱり……。
さては、婚約指輪の分まで頑張ろうとしているな???
うーん、気持ちは嬉しいけど、でも……。
ダイヤって高価で高貴なものだろうけど、私はそれほど心惹かれないんだもん。
「じゃあ……私はいいから寛行さん入れたら?ポチッ!キラッ!って。うんうん」
「えーっ、僕はそんな……」
「だって、私にはもっと別なこだわりがあるんだもん」
「もちろんだよ。君のこだわりは、それはそれとして大事にして。けどさ……」
ぬぬぬ、寛行さん意外と引かないし……。
さりとて、私だって引かないし。
けど、このまま膠(こう)着状態に陥ってしまうのは嫌だし、困る。
そのとき――
「ハイ!一瞬だけよろしいでしょうか?」
これまで黙って熱心に聞き役に徹していた加藤さんが口を開いた。
「ハイ!とにかくですね、まずは新婦さまのご要望をお聞き致しましょう!ね?」
おっ!さすが加藤さん!
っていうか――
けっこうあるんだろうなぁ、こういうの。
新郎新婦が、些細なことで“もめもめ”しちゃうこととか。



