准教授 高野先生の結婚


応対してくれたのは、いかにも商売人って感じの元気の良い男性の店員さんだった。

御丁寧に差し出された名刺によると、お名前は“加藤昌也”さん。

ってことは――

“姓・名”だとイニシャルは“K・M”。

なーんだ、“KH”じゃないのかぁ……なんて。

そんなことを一人ぼんやり思ってみたり。

ちなみに、加藤さんの手には左右のどの指にも指輪は無し。

眼鏡屋さんの店員さんとかは、みんな眼鏡をかけているって印象があるけれど。


「ハイ!早速でございますが、本日はマリッジリングをお探しということで――?」

「「はいっ!」」


やる気まんまん!ハモリも上々の私たち。

さらにさらに、用意だって周到だ!

私はバッグの中をごそごそして、家でプリントアウトしてきた用紙を取りだした。


「あの、えと……一応“こういう感じ”がいいなぁって考えてて――」

「ハイ!恐れ入ります。拝見いたします」


持参したのは、ネットで見て“いいなぁ”と思った指輪のページと雑誌の切り抜き。

なんかちょっと美容院みたいかも?なんて。

まるで“このモデルさんみたいな髪型にしてください!”みたいな。