准教授 高野先生の結婚


式の日取りが決まったことで、なんとなく急に目の前が開けてきたような気がした。

いっそう明確に結婚までのプロセスが見えてきたような。

5月に挙式となれば、それに向かって自動的に為すべきことが決まってくる。

目的に向かって計画を立てて、こつこつと準備を重ねていくのだ。

これから、二人で一緒に。

そして……。

挙式予約も完了して、次なる作業はというと――

「ところで。久しぶりのお友達とのデートは楽しかったかい?」

「うん!あのね、割引優待が受けられるカードをもらったよ!」

いざ!結婚指輪の購入であーる!!

「お店、どのへんにあるんだっけ?」

「あのね、問屋街のほう。なんかね、見ため的には“こ汚い店”なんだって」

「まあねぇ、あの界隈はごちゃっとしていてキレイな感じの店は少なそうだけど」

「でもでもっっ、商品は確かで豊富だし良いお店だって言ってたよ!」

「それは楽しみだ」

「ただ、こ汚いけどね♪あー、楽しみぃぃ!こ汚い店、楽しみすぎるぅ!」

「詩織ちゃん……指輪が楽しみなの?それとも、こ汚い店が楽しみなの?」

「それは……うーむ」

「そこ、悩むところかなぁ……」

電話の向こうで、やれやれと寛行さんがくすりと笑う。

「どんな指輪がいいかは君が考えておいてね。僕は君に全部おまかせするから」

「いいの?」

「うん」

「じゃ、レーザービーム発射できちゃいそうなやつとか。ドクロのモチーフとか」

「ごめん……ちゃんと僕も考えます」

「ふんっ。大事な結婚指輪なんですからね、二人の。主体性を持って考えて下さいよ」

「はいはい」