お隣のお兄ちゃん



目を覆いたくなるような事実を突き付けられて。



胸の奥の、奥の方まで、ギュウってわしづかみにされたみたいに締め付けられる。



だけど、痛いくらいの胸の締め付けとは、逆行するように、どんどん涙腺は緩んできて。



目がしらが熱くなってくる。



「香奈?どうした?」



って、背中から由樹兄ちゃんの優しい声が聞こえて。



ビクって反応する私の体。



「……、何でもない、よ?コレ運んでおくね」



さっき、公園で涙見られちゃったけど。



今、泣きそうになっている理由なんて、説明できない……



そう思った私は由樹兄ちゃんの方を振り返ることなく、背中で返事して逃げるようにリビングへ戻った。