“ほら、梨奈、本番
 そんな、怖い顔するなって
 お前がミスっても
 俺がフォローするから!!”

笑顔で幸輝が私に言う

“ちがうの
 私が、心配しているのは・・・”

私は怖がって泣きそうな感じだ

“心配するなって!
 あいつも来ないしさ”
“でもっ”

すると
幸輝は私の後ろから
優しく抱き締めて

“なんかあっても、
 俺が守るから
 だから、大丈夫”

この時の私は覚悟を決めた

“幸輝の言葉を信じるって
 みんなの前でちゃんと、
 歌いきるって”

そして
幸輝は私を優しく放して

“ほらっ、早く 梨奈!!”

そう言って
幸輝は私に手を差し出す

その手を中2の私が受け取る

でも

もし
この時の私が
手を取らなかったら