可愛いなんて大嫌い。

(この先輩は尻に敷かれているのか?)

 哀れみの目を向ける葵であった。

 そのとき、

「須藤先輩、お茶の準備が出来ましたけど、どうしますか?」

 体操服を来たマネージャーらしき女の子がこちらへやって来た。

「仕方ない。休憩だ! おらぁあああ!! 早く集まりやがれぇえ!」

 いちいち暑苦しい奴である。

 次第に部員がベンチに集まって来た。

「そうだわ須藤くん。この子がそのシュークリームを一緒に作ってくれた1年生の葵ちゃんよ。料理部期待の新星なのよ!」

「……神田葵です」

 葵は須藤先輩の目を見ずに下を向いて挨拶する。

「そうかそうか! 小さくて可愛いな!」

 須藤先輩は馴れ馴れしく葵の頭をポンポン叩いた。

(やめてくれっ!!)

 しかし、それを見逃すはずがない人物がここに1人おられる。

「ちょっと……私の後輩に何してくれてるのかしら? 私以外の女の子に触ったら罰金100万払うって誓約書書かせたわよね? 早く払え今すぐ払え!!」