さらり、と言い放つ眼鏡。
酷い、こいつ、酷いぞ。
言うだけ言って自分は平然と読書に戻りやがって。
ちくしょー、お前なんか嫌い……ん?あれ、もしかしてこれは。


「ははーん……そーいうことか。魂胆は見え見えだぞ、眼鏡」
「だから、付属品で呼ぶな」
「お前、アレだろ。俺がツンデレ好きって知って喜ばせようとしたんだろ!!アンタなんかどうでもいいんだからねってか!!」
「全力で否定しよう」
「お前ら愛してるぜ!!」
「聞けよ」

気の効く友人を持って俺は幸せだよ。
宣誓するように叫んだあと、ここが食堂であることに気付いた。まぁいい。

「……つーかさ、秀、お前。まさかまだその彼女と付き合ってんのか」

飯を食い終えた友人が、いぶかしげに眉を寄せ、尋ねてくる。
一瞬言葉に詰まりそうになるが、俺は答えをため息と共に吐き出した。

「信じられないと思うが、YESだ」
「聞いたかマモ、こいつ本物の馬鹿だ」
「末期だとは思っていたが、まさかここまでとは……こんな時ぐらい同情してやろう、カズ」

友人達が互いに目を合わせて溜め息をついた。
ちなみに、マモってのは眼鏡のこと、正しくは守という名前である。カズは飯食ってた奴、正しくは和海(カズミ)、女みたいな名前に見えるが、男だ。