朝、里亜は面倒くさそうにベットから降りると昨日と変わらない日常に胃がムカムカした。また学校か…勉強は出来るほうではないがそこそこ友達はいてそれなりに楽しい筈なのに…毎日つまらないと思っていた。里亜、小学6年生。また同じ通学路を歩く。 「学校うぜぇ…」 住宅街を歩きながら毎日見飽きてる景色を眺めていた。 「あ、里亜ちゃんおはよう」 「若葉ちゃんおはよ」 仲のいい若葉と一緒に学校までの道のりを歩く。若葉は父子家庭だが、明るく運動神経も抜群だ。 「あれ…お笑い芸人の浜本と松田に似てる」 「え!どこ、若葉ちゃんどこ、どれ!」 「今この先曲がったよ。行ってみよう」 二人はランドセルをユサユサさせながら追い掛けて右に曲がった。 「ほらっ、あの二人組」「…似てるねぇ。なに収録?でもカメラもスタッフもいない…やっぱ違うのかな」 「顔見えればな…追い越しちゃおうか」 「走るぞっ」 二人はまたランドセルをユサユサさせながら追い越そうと走ったがお笑い芸人らしき二人はまた右に曲がった。 「あぁまた曲がった。学校と反対方向だよ」 「顔見たらすぐ学校まで走ろ」 二人は右に曲がり、立ち止まった。 「あれ?」 「…いない。またどっか曲がったなぁ~」 「もうだめだ。遅刻する!」 「学校まで走れー!」 それらしい人達を見失い二人は諦めて学校へと走った。走ったからなのか里亜は久しぶりにドキドキしていた。非日常的な芸能人、探偵みたいな追跡。こんな楽しい通学は久しぶりだった。 「ホントだよぅ、学校来る途中ストリート(浜本と松田のコンビ名)がいたんだよ。ねっ若葉ちゃん」 「そう。きっとこっちの方で仕事だったんだ。もう少しで顔見れるとこだったんだけど…」 「じゃあ本当にストリートかわかんねぇじゃん。朝っぱらからこんなとこ来るかよー」 男子達にからかわれ、周りは信じてくれなかった。 「やっぱ人違いかなぁ」「里亜ちゃん。ストリートのファンでしょ?本人だと思ったでしょ?」 「うん。間違いない」 「学校終わったらまたあっちの方行ってみよう」「うん!」