「由加、いつまで思い出に浸ってんの。現実に戻ってきなよ」


「はーい」


子供のように返事をして、由加はパッと目を開けた。


「もう一度人生やり直せたら・・・なんてね。キャハハ」


笑っているが、多分由加の本心だと思う。


「───あたしさ、またあの夢見たんだ」


「夢?──階段から落ちるってやつ?」


「そう。もう、嫌になる」


「正夢にならないといいね」


由加の言葉にあたしは笑った。


「それはそれでおもしろいじゃん」


「キャハハ。未紀ってば、おばさん泣くよ」


「あのババアが?泣くわけないじゃん」


言いきれるね。


だって、ババアの涙なんて一度も見たことない。