『藍か?いいかよく聞け、そのビルの四十五階に爆弾が仕掛けられている。今、翠ちゃんが爆弾処理班をそっちに向かわせている』

「爆弾……?」

『俺は犯人を捕まえるために動いている。爆弾を仕掛けるヤツはな、その成功を見届けるために絶対近くに居るハズなんだ。いいか、お前はそのビルからみんなを避難させて逃げろ!』

「……爆発までの時間は?」


『三十分だ』


さ……三十分……。





「お姉ちゃん?どうしたの?怖い顔して」
電話を切って顔を上げると葵が心配そうに見つめていた。

「ううん、何でもない。葵君、久留間さん!あなたたちは私が必ず守ります」





ドカッ……ドカ――ン……!!!





下階で何かが爆発するような大きな爆音とともに建物自体が大きく揺れた。

「青山様、一体、これは……」

「爆弾です。爆弾が仕掛けられました!!」

一階の入り口が爆破されたのだろう……。

おそらくこれは進入進路の妨げと警察へのみせしめ。

そして──犯人は私たちを本気で殺すつもりだ。