どこまでも続く青い空、青い海。
そして白い雲、白い砂……お決まりの『水着ギャル』。


「久々の休暇だ~っ!」
立てたばかりのパラソルの下で私は海を眺めていた。
ギラギラと容赦なく照りつける日射しが身体に堪える。これも最近夜行性になっていたせいなのかなぁ。

「藍、泳ぎに行くぞ!!」

「あ、うん……」

廉は着ていた黒いTシャツを無造作に脱ぎ捨てると準備運動を始めた。

「どうしたんだ?」

水着の上に着ているそれを脱ぐことに戸惑っていた。水着姿になるのがイヤというわけではないのであるが、やはり久しぶりということで抵抗がないというのは嘘になる。

「別に」

覚悟を決めて……というのも大袈裟かもしれないが、私は思い切って白いTシャツに手をかけた。

「ワンピース……か」

「これしか持ってないの!悪い?」

「いや、別にそんなんじゃないけど、俺としては……な」

私だって新しい水着を買いに行こうとしてたのよ!なのになのに!!仕事が忙しくて行けなかったんだから!それもこれもあんたが翠ちゃんからどんどん仕事を取ってきて押しつけるから……、

「って!!……いないし。まぁ、どーせ」
さっきまで隣に居たハズの彼の姿は忽然と消え、


「ね~ね~彼女!もしかして一人?よかったら俺とひと夏の想い出作りませんか?」


早速、浜辺で綺麗なビキニ姿のお姉様を口説いている様子が目に飛び込んできた。

ほら、やっぱりね。
呆れて物が言えないとはこのことを言うのかもしれない。
こっちが彼の『真』の目的ということはすぐに察しがついた。もう五年も一緒に居れば……ね。

「やっぱり、ビキニにすればよかったかな」

青色のワンピースの水着に目を落とすと私は小さく呟いた。