ネコ専務シリーズ2

昼休みの時間に、ネコマニアは教室で
本を読んでいた猫子の前の席にどかっと
座って、メガネをくいっと上げて話し
かけた。

「あのさあ、猫子、アニメやマンガは
 子猫のためだけのものじゃないぞ~?

 そこはお前、じゃなかった、村上さん
 の考え違いだ。

 「宇宙戦艦ティアマット」見たこと
 あるか~?

 「さらば~、銀河よ~、旅立つ~
  我らは~」

  って歌知ってるだろ? あれこそ
  男のロマン! 女のお前・・じゃ
  なくて村上さんにも十分伝わる
  はずだぜ?

  あれは特に「2」が良いんだよな~、
  虹色彗星帝国っていう敵が火星軌道
  上で地球軍と戦ってなあ、そんで
  月も火の海になってなあ~」

70年代に大ヒットした超有名SFアニメ
について夢中で語り、目をらんらんと
輝かせていたネコマニアではあったが、

ふと見ると猫子は手に持っている本を
一心不乱に読んでおり、

「あの~、猫子さん?」と肩を突いた
ネコマニアに対しては、

「触らないで。黙ってて」

という有難いお言葉で応えたのみで
あった。