「タイトルは後回しだ。世界観も、まだ
 詰めなくていいな。

 このシリーズはキャラクターが売り
 だから、まず魅力的なキャラクターを
 考えよう」

ネコ博士は豪邸と呼んでいい大きさの、
自宅の机に向かって、この作品のために
用意した創作ノートに鉛筆で何か走り
書きしたり、

それを線や消しゴムで消して別のことを
書いたり、

それもやめてページを変えたりしながら、
一時間ほど考えていた。

夕日が部屋に差し込んでくるころ、ネコ
博士は「こんなものかな」と顔を上げ、

自分で入れたまま手をつけていなかった、
すっかりさ冷めたコーヒーを一気に飲み
こむ。

ネコ博士は机から創作ノートを取り上げ
ると、さっきまで書いていた、新シリー
ズのキャラ設定を口に出して読み上げ
始めた。