ネコ専務は「おっはよ~」とニコニコ
居間に入ってくる。シンイチに気づいて
「おっと、君か」とウィンクすると、

シンイチは丁寧に一礼し、Nオケのため
に尽力してくれた恩人の足に体をこすり
つけて、感謝の意を表した。

「おお、ありがとう。君たちは昨夜
 初練習したんだね。あの場所は気に
 入ってくれたかなあ」

シンイチは応えてニャアと鳴く。

シロはさっきまでの思いに引きずられて、
浮かない顔でその光景を見ていたが、

ネコ専務が輝く笑顔でシンイチや自分を
見ていることに気がつくと、さっきまで
の迷いは一気に晴れて

(この人を置いて家を出られるわけない
 じゃない、バカねえ)

と微笑んだ。


シロとシンイチの、2匹分の朝食を用意
したネコ専務は、「シロクロおいで~」
と二匹を呼び、

シロはネコ専務に向かって一声、ニャア
と鳴いて歩いていった。

            おしまい